色が作品に与える
意味や効果とは?
細密な表現が注目されがちな写実絵画ですが、本展は「色」をテーマに構成いたしました。色が作品に与える意味や効果とは?
ブルーの作品から始まるこの「いろいろ 色の魔法—色から見える写実」展覧会、色の変化を楽しみながら次のベージュ色のギャラリーに移るとき、どんなイメージをもたれるでしょうか。作家ごとではなく、色をキーにした展示で、ホキ美術館でしか味わえない体験をぜひ間近にお楽しみください。作品の持つ色の力から、新たな発見があるに違いありません。本展は、原 雅幸、五味文彦、小尾 修、藤田貴也、廣戸絵美の新作を含みます。
写実絵画とは
見たままをそのまま忠実に描くことを基本にした絵画作品。しかし、作家の数だけ描き方があります。瞬時にデジタル写真が撮れる時代にあって、写実画家はキャンバスに一筆一筆、絵の具を重ねていきます。そこには現実以上の感動をよぶ何かが込められています。作家が感動したものを描くことが基本であり、長い時間をかけて、ときには1年をかけて1枚の作品を仕上げる。それは人間にしかできない、人間の存在とは何かをつきつめていくことにも通じます。写真とは違う表現であり、ありのままを描くことを基本に、それ以上の存在を描く。それは真摯な思いを込めた作品です。写実絵画は、何の背景知識がなくても入っていける絵画作品なのです。
小尾 修
1965年神奈川県生まれ
画家・武蔵野美術大学教授。
武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、同大学大学院造形油絵コース修了。1989年より白日会展に出品、文部大臣奨励賞、内閣総理大臣賞等受賞。安井賞展ほか展覧会出品多数。
藤田 貴也
1981年埼玉県生まれ
2007年、多摩美術大学大学院修士課程修了。2008年より国内外の展覧会に数多く出品。2014年、第9回前田寛治大賞展(日本橋高島屋、倉吉博物館)。現在、日本工学院専門学校講師。女子美術大学非常勤講師。
三重野 慶
1985年広島県呉市生まれ
《言葉にする前のそのまま》(ホキ美術館蔵)が話題となり、美術の枠を超えて一躍注目を集め、NEWS23(TBS)など多くのメディアで紹介された。映画監督の岩井俊二氏と親交があり、岩井氏の小説『零の晩夏』では主人公のモデルとなった。
原 雅幸
1956年大阪府生まれ
油彩風景画の伝統と歴史をその手により大きく変貌させた。アンドリュー・ワイエスが瞠目、驚異のデビューを果たし、克明で繊細、大胆で且つたおやかな光にあふれる世界を描く。国内及びニューヨークなどで個展多数開催。現在スコットランド・エジンバラ在住。
青木敏郎、石黒賢一郎、大畑稔浩、小尾 修、五味文彦、島村信之、塩谷亮、諏訪敦、羽田裕、原 雅幸、廣戸絵美、藤田貴也、藤原秀一、三重野 慶、森本草介(五十音順)
出展作家
ホキ美術館は世界でもまれな写実絵画専門美術館として、2010年に千葉市緑区に開館しました。そのコレクションは、保木将夫が収集した写実絵画作品、約500点を収蔵。千葉市最大の公園である緑ゆたかな「昭和の森」に面した、地上1階、地下2階の三層構造× 計500メートルにわたる展示スペース。回廊型のギャラリーでは、森本草介をはじめ、野田弘志、中山忠彦など、約60名の現代作家による写実の名品約120点を常時鑑賞することができます。ギャラリー1は鉄板構造によって空中に浮かせ、先端の窓からは森が見渡せます。不定期で、画家や専門家を招いてのギャラリートークを開催、過去にはクラシックギター、弦楽四重奏、ピアノとチェロの二重奏などのコンサートも開催されました。